イマージョン
「食べる事に興味無いんだ。面倒臭い。酒は好きだけど」

千春同様、私は香の体型が気になって仕方なくなって、そんなに痩せて大丈夫?ちゃんと食べてる?と、疑問を投げ掛けたら、そういう答えが返って来た。

興味が無い。何て羨ましい事だろう。私もそんな台詞を格好良く口にしてみたい。

香は、続けて言う。
「煙草吸うと、お腹空かないし」

私も煙草、沢山吸うけど、お腹、凄く空くよ?

何が違うのだろう。

香も私みたいに苛々した顔で仕事しているのに、過食しているとは思えない。どうして、何が違うのだろう。

いいな。いいな。

見習わなくちゃ。目指さなくちゃ。千春と香みたいにガリガリにならなくちゃ。食べるの我慢しなくちゃ。

そう決意すると、益々2人の体型を観察して、私も、ああなるんだ。と2人の美しい身体を脳裏に焼き付けて、忘れない様にする。何度も。

はたから見たら、まるで身体を舐め回す様に見るセクハラオヤジに見えるかもしれない。

私は2人同時に恋しているかの様に、毎日観察している。

そして私は、ある考えが頭に浮んだ。
前から気になっていた事を実行に移そうと決めた。
< 14 / 174 >

この作品をシェア

pagetop