イマージョン
私の服を、たくし上げブラジャーを、そのまま上にずらして胸を揉んでいる。義則は息が粗くなっている。鼻息が顔に触れて不快だ。何度も胸や口にキスを繰り返して来る。
声を出したら眞奈に気付かれると思い、身体で抵抗する。声を殺しているのに、もうアソコが…。と訴えて来る。更にエスカレートしてスカートの中に手を入れて来る。今日に限って何故スカートなど履いて来てしまったのだろう。本当に嫌だ。義則嫌い。義則魚臭い。眞奈の家で、こんな事する義則嫌い。元彼女が傍で眠って居るのに、こんな事する義則嫌い。
悲しくて虚しくて大きな声で止めてと言いたくて仕方がない。どうしよう。どうしよう。このままの流れだと私の中に義則が入って来てしまう。そうしたら嫌でも身体が反応して声が漏れてしまうだろう。義則はいつもと違う環境だからいつもより興奮している様に感じる。義則だけではなくて男は皆そう言う生き物なのか。そうかもしれない。2人乗りの狭い車の中でした時も興奮していたから。でも元彼女が其処に居るんだよ?やっぱり可笑しいよ義則は。私がフられて義則の家に乗り込んだ時だって、私がパシリにしても文句を言わないし、私が怒って義則の家を飛び出したら死ぬとか。矛盾してるよ。
でも矛盾してるのは私でもあって。義則を利用しているのは私であって。今日だって眞奈の家に連れて来てくれたし、でも義則は、つまらなそうにしていた。ならば身体を許してあげればいいのだろうか。あぁ。もう訳が分からない。どうしよう。どうしよう。今のこの状態は何。苛々する。何か食べたい。私の中に義則が入ってしまったら頭が性欲に支配されてしまう。その前に何か食べて食欲を満たして、性欲を何処かに捨てたい。あんなに捨てたかった処女なのに。
義則の手が私のパンツに入ってしまうか、しまわないかの瞬間、ゲシッと身体を蹴られた。
「なーにやってんのっ」
眞奈の蹴りを食らった。救いの蹴り。私達が気が付かない内に段々と大きな音になってしまったのだろうか。それとも眞奈は、こうなる事を予想していたのだろうか。
私は救われた。眞奈ありがとう。眞奈の可愛い臣脚ありがとう。救いの臣脚ありがとう。

私は義則を好きなフリをして、ごめーん。と、ぶりっこをしてみせた。
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