高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



「遷崎さん、一つ、尋ねていいですか」


俺は携帯をもう一度耳にあてる。


「ああ」


「目の前に道を踏み外そうとする者がいたとして、他の人を巻き込もうとしている場合……失敗続きの俺に止める資格はありますか?」


一呼吸置いて、遷崎は質問に答えた。


「当たり前だ。自分を信じろ、その場に過去は関係ない。怒っていいんだ、止めていいんだ」


「……遷崎さん」


鼻の頭がツンとし赤くなる、視界が曇る、声で表情を悟られないよう唇を噛み締めた。


「尚輝、失敗は恥じゃない、失敗しないことが恥なんだ」


ありがとう
遷崎さん
あんたと出会えたこと
無駄じゃないみたいだ


俺は自分が出した結論を信じて、一つ目の扉を開けた。


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