高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



玄関の中に入ると廊下は灯りがなく、真っ暗闇だ。


物音はしないが、テレビ番組が流れる音は耳に入ってきた。節電で使ってない場所だけ切ってるなら、今の時代納得出来るか。


ともかく2人に会わなければ意味がない、泥棒じゃないんだからコソコソ入らず一言声掛けるべきだよな。


いや待て、俺はさっき三田村のポケットから落ちた白い粉が気になる。今声掛ければ、悟られ証拠隠滅でもする可能性がある。


なら、桐生美玲には悪いけどそっと上がらせて貰うしかない。


俺は恐る恐るだが靴を脱ぎ、着実に歩を進めテレビが聞こえるリビングに向かった。


「居ない……」


照明は薄暗いが、テレビは点いてるのに無人だ。

何処へ?
何処に居る?


唾を飲み込み、辺りを見回すと、完全に閉め切っていない部屋のドアから一筋の灯りが洩れているのが確認出来た。


耳をすますとゴソリと物音が鳴った。


確実にこの部屋に居る!

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