高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



意を決してドアノブに手をかけ、開けると桐生美玲の口を手で塞ぎ、上に覆い被さる三田村の姿が鮮明に焼き付いた。


「何してんだっ!」


激昂が理性を先行した。だが三田村は俺の声に驚きを一切見せず彼女の口を塞いだまま、顔だけこちらに振り返って睨み付けた。


無事では済まないだろうと思わせられる。激昂が後悔になりやしないかと揺らいでしまう。


そんな時、先程の遷崎の言葉が脳裏に流れた。


怒っていいんだ、
止めていいんだ。


動揺しかけた心が落ち着いた。


「彼女から離れろ」


「あ?お前、美玲の何なんだ」


「いいから離れろっつってんだ!」



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