高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



「私は、当時彼女の気持ちを汲んでやることしか出来なかった。大丈夫なんて無責任な言葉掛けることも、彼女の表情見たら不可能だ」


「今、美紀はどうしてるんですか?」


「大学じゃなく専門学校で整体師目指してる。完全じゃないけど、そこで知り合った男の子の影響で自分を開放出来るようになってた」


「なら良かった。俺、優しくなんかないっす。多分、事実を知っても傍に居なかったかもしれない、悪化させたかも。イジメとか見てても巻き込まれたくないから、逃げることを選択する。いつもそうしてきました、だから自分に嫌気がさした」

独りの方が楽だと言う割に誘われたらついてく。

独りの方が楽だと言う割に独り立ち出来ない。


ダラダラと過ごし、世間や時代、周囲の人間にかこつけて殻に閉じこもっている。


「独りの方が楽だと言う割に、人を心の底から嫌いになれない自分がいる。俺……普通の生活がこんなに難しいだなんて知らなかった。本当は学校行って、笑顔で友達とくだらない話したり、部活や勉強、教師の愚痴を零しながらでも……やりたかった」



学生に戻りたい……
高校生に戻りたい……
学校に戻りたい――


この気持ちが現在の偽りのない日比谷尚輝だ。


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