高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



中澤は、尚輝も美紀も互いに想いを寄せ合っているのに、今一歩踏み出せないので自分が手助けし、2人の心の傷を2人で癒やして貰いたいと思った。


此処はやはり男から行くべきだと、尚輝に受験合格を条件に伝えろと後押しした。


これで上手くいくはずだったが、予想外の美紀からの呼び出しに教師として適切な対応が出来なかった。


美紀は泣き崩れながら中澤に、折角立ち直ろうと努力を始めた尚輝に迷惑掛けられない、今から嫌われる為に手伝って欲しいと言った。


中澤は解ったなんて言えやしない、美紀と同じ目線で悩みを訊いた。


美紀は昨日、精神が暴走し、正気に戻った際に、手にカッターを持っていた自分が怖くなった。自傷行為に至るまで精神が先走っていた。


このまま尚輝の傍に居たら、彼の人生を一生台無しにしてしまう、彼は他人の為に犠牲を伴ってでも助ける優しい心を持っているから。


美紀は尚輝に嫌われる為、心の底から呆れさせる為に中澤と男女の関係になったと嘘をついた。


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