高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



3LDKのごくありふれた普通の十階建て青のマンション。遷崎は最上階の端っこ104号室、夏になると花火が鮮明に観れる隠れスポットと余計な説明もされた。


「入りな」


中に入ると一人暮らしの男にしては整理整頓され、洗濯物が散らばったりキッチンが皿とかぐちゃぐちゃという光景は見られない。


中学時代に男友達の家に行った時とまるで違う、大人になると意外とやるんだろうか。


「オレは結構潔癖症でよ、本や資料整理してねぇとイライラすんだよ。ま、適当にソファーか椅子に座れよ。これから色々話してかなくちゃならねぇからな」


「潔癖の割には知らない男を連れ込むんすね」


「変な言い方すんなよ。対人潔癖じゃねぇし、オレは女が好きだっての」

俺はソファーに腰掛け、遷崎が淹れてくれたインスタント珈琲を口にした。


「先ずは互いに自己紹介するか、きっちりと」



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