君の声【短編】
 
男に頭を上げさせる事もなく
アイスコーヒーを飲み込む
 
「今さら何?」
 
彼女は静かに呟いた
 
声は小さいはずなのに
少し離れた僕の所まで
しっかり聞こえた
 
その時の彼女は
怖いほど静かで
冷たい目をしていた
 
今の彼女の声を聞くと
震えるほど怖い…
一言一言が胸に刺さる
 
「俺が…俺が悪かった」
 
男が下げた頭から
汗が流れた
 
外はもう夕方だと言うのに
蒸し暑かった
< 14 / 31 >

この作品をシェア

pagetop