それでもあなたに恋をする
ロックをかけ、チェーンロックもかける。
振り返ると、真剣な表情の山口君。
「俺は、曖昧な関係は嫌です。部屋に入れてくれたという事は、受け入れてくれたと捉えていいんですか?」
こんな事言われたのは初めてで、締め付けられているみたいに胸が苦しくなる。
いつだって私は本命にはなれなかった。
身体だけの関係でも仕方ないって諦めていた。
だけど、山口君は違うの?
私だけを……
「山口君こそ、私でいいの?貴方から見ればただのおばさんじゃない。」
声が震えそうになる。
でももう一度確かめたい。
「勿論です。」
そう答えながら、そっと私の手をとる。
「…っ。」
山口君はただ手に触れただけなのに、私の唇からは声にならない声が漏れる。
「去年面接を受けた時から、ずっと雅さんに恋してた。
だから、やっと一緒に働ける様になって、どれだけ嬉しかったか分かりますか?
入社してからだって、貴女の気をひく為に細かい努力を重ねていた事を――」
そこで言葉が止まり、じっと私を見つめる。
ドキドキしておかしくなりそう。
「…――ご存知ですか?」
最後の言葉と同時に、唇が重なる。