それでもあなたに恋をする

ロックをかけ、チェーンロックもかける。



振り返ると、真剣な表情の山口君。



「俺は、曖昧な関係は嫌です。部屋に入れてくれたという事は、受け入れてくれたと捉えていいんですか?」





こんな事言われたのは初めてで、締め付けられているみたいに胸が苦しくなる。









いつだって私は本命にはなれなかった。

身体だけの関係でも仕方ないって諦めていた。



だけど、山口君は違うの?


私だけを……




「山口君こそ、私でいいの?貴方から見ればただのおばさんじゃない。」



声が震えそうになる。


でももう一度確かめたい。



「勿論です。」

そう答えながら、そっと私の手をとる。



「…っ。」


山口君はただ手に触れただけなのに、私の唇からは声にならない声が漏れる。


「去年面接を受けた時から、ずっと雅さんに恋してた。
だから、やっと一緒に働ける様になって、どれだけ嬉しかったか分かりますか?
入社してからだって、貴女の気をひく為に細かい努力を重ねていた事を――」



そこで言葉が止まり、じっと私を見つめる。


ドキドキしておかしくなりそう。



「…――ご存知ですか?」


最後の言葉と同時に、唇が重なる。




< 56 / 62 >

この作品をシェア

pagetop