【短編】12年の想い
蘇ってきた記憶に自己嫌悪。

でも・・・


「亮ちゃんは年上が好きやって言うとったやろ??お兄ちゃんに。」


あの言葉で大人の女になろうって決めたんよ。


「そういやあったな。あれは健治にバレんよう嘘言うたんよ。チョコは年下なんやろ!?」


「わたしやって・・おばちゃんにバレたらヤバイって思って・・嘘言うた。」


・・・・・・。

2人して沈黙。


「プッ・・。」

亮ちゃんは吹き出すと、次は声をあげて笑い始めた。

それと同時にわたしまで笑い始める。

うちら、嘘を気にしてお互いを遠ざけとったんや。


「ありえんな・・ほんま。こんなウケる話ないわ。」


「亮ちゃんがあんなん言うからわたし高校卒業したら大人やって思っとった。」


「俺はチョコがギャルでも好きやで?俺のこと好きや言うた2日後に他の男と肩抱いて歩くアホやけどな。」


「ちっ、違う!!あれは・・」


「ええねん。今ここにチョコがおればな。」


そう言ってわたしの肩に頭をポスっと乗せてきた。


「やっと・・・手に入れた。でももうちょい待ってな。」


「うん、待つよ。12年待ったんよ?余裕や。」


そう言ってわたしが亮ちゃんの背中に手をまわした。


「ま、俺は14年やけどな。」

そう言うとめっちゃ笑顔でわたしを見た亮ちゃん。


やっと長年の夢、叶った。

大人になんてならんでもよかったんやな。

でも今のわたしを受け入れてくれるんやから大人の亮ちゃんに釣りあうもっといい大人の女、目指しちゃる。
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