君に触れたくて…
「でもね…悲しいの」
「……」
「その手から、その人の悲しさが伝わってきたの」
「…うん」
「あたしはその手を知ってる」
「……」
「理音」
「…なに」
「この手…」
秋桜は俺の手を握って、自分の頬にあてた。
「やっぱり」
戸惑う俺。
今までの人生の中で、こんなにテンパったことがあるか?
「あたしに…キスした?」
「……っ」
ダメだ。
秋桜を見れない。
否定したいのに…言葉が出ない。
「…大好き」
一層強く強く俺を抱き締める。
「本当に好き…」
「秋桜…」
いい加減、素直になれよ。
いつか智樹が俺に言ったよな。