君に触れたくて…




ついつい強い口調になってしまう。


彼女は少し悲しそうに俯き




「そっかぁ…ありがとね」




そう言ってベッドから降りようとした。




「きゃっ」



「ぅお…」




よたよたとした足取りのため、転けそうになり、俺に抱きついてきた。



やべぇ…
心臓バクバクいってる。
聞こえねぇよな?



ギュッ



え…?




秋桜は俺に強く抱きついてきた。

え…なっ、なんだよ。


かなりテンパってしまう俺。



「夢を見たの…」



秋桜がゆっくり話しだす。

俺はその話に耳を傾けた。



「あたしがね、寝てたら…傍にいた人があたしにキスをしたの」



ドキッ


ばれたのか?



「白い靄がかかってて、誰かわかんなかったんだけど…、あたしの頬っぺたに触れる手は優しかった」



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