君に触れたくて…




「お前足の怪我の手当てしろ」




秋桜を見ずに言った。



「……うん」



何だか落ち込んでいる様子の秋桜。




「どうした?」



「…なんでもない」




そう言って秋桜は救急箱を持ってきた。




「……っ…!!」




消毒液がかなり染みたのか、秋桜の顔が痛みに歪む。




「お前大丈夫かよ」




俺は秋桜の代わりに消毒をした。




「少しいてぇの我慢しろよ」




俺の手が秋桜の足に触れる。



少しビクッと体を震わせる秋桜に、愛しさを感じながら俺は一通りの消毒を終えた。




「よし、これで大丈夫だ…ろ…」



顔を上げると、秋桜が泣いていた。



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