君に触れたくて…
あたしは理音が仕事に行ったのを確認して、健二くんに電話をかけた。
健二くんとは理音を含めて、何回か遊んだことがある。
だから番号も知ってる。
3回目のコールで健二くんが電話に出た。
「もしもし」
「ハニー♪やっと俺に振り向いてくれたの?」
健二くんは毎回あたしを口説く。
「バカ。そんな事で電話したんじゃない」
「じゃあなに?」
「ちょっと聞きたい事があって」
あたしは健二くんに、あの日のことを尋ねた。
「あー、あの日?確かに理音、変だったな」
「どんな風に?」
「話しかけても反応ねぇし、何か泣いてたっぽくて」
「泣いてた?理音が?」