月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
車椅子のあたしは、達郎兄ちゃんに押されてエレベーターに乗った。
「松葉杖ついてくからいいよ」
「カホのペースに合わせるのが面倒臭い」
そんなやり取りの後、達郎兄ちゃんに押し切られたのだった。
一応、松葉杖は膝の上に抱えた。
「カホは婦長さんと面識があったな」
エレベーターの中で言われた。
「あるけど」
「今回の第一発見者はその婦長だそうだ」
「そうなの?」
「正確に言うと、事件に最初に気付いた人物と言うべきか」
何でそんなこと知ってるんだろ。
それを訊くと一言「レミから聞いた」。
病室を出る前、電話をかけてくると言って、しばらく戻ってこなかったけど、麗美姉ちゃんに電話してたのね。
「今からその婦長に話を訊こうと思ってな」
「そんなことできるの」
「根回しはしてある」
どうせ麗美姉ちゃんに頼んだんだろうな。
そうこうしている間にエレベーターは止まり、そのままナースステーションに向かった。
「松葉杖ついてくからいいよ」
「カホのペースに合わせるのが面倒臭い」
そんなやり取りの後、達郎兄ちゃんに押し切られたのだった。
一応、松葉杖は膝の上に抱えた。
「カホは婦長さんと面識があったな」
エレベーターの中で言われた。
「あるけど」
「今回の第一発見者はその婦長だそうだ」
「そうなの?」
「正確に言うと、事件に最初に気付いた人物と言うべきか」
何でそんなこと知ってるんだろ。
それを訊くと一言「レミから聞いた」。
病室を出る前、電話をかけてくると言って、しばらく戻ってこなかったけど、麗美姉ちゃんに電話してたのね。
「今からその婦長に話を訊こうと思ってな」
「そんなことできるの」
「根回しはしてある」
どうせ麗美姉ちゃんに頼んだんだろうな。
そうこうしている間にエレベーターは止まり、そのままナースステーションに向かった。