月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
「警察で話した事を、そのままお話しすればいいんでしょうか」
婦長さんは達郎兄ちゃんを見て言った。
口調は穏やかだったが、目には不審の色がたっぷりだった。
そりゃそうだろうなぁ。
警察でもマスコミでもない人間が、事件の話を聞きに来るんだもん。
「大変でしょうに、お手数をおかけして申し訳ありません」
達郎兄ちゃんは丁寧に頭を下げた。
あたしも車椅子に座ったまま、それにならう。
身内である多江さんを亡くしたというのに、休めないなんて、ナースって大変だな。
「急なことで、まったく引き継ぎができてないものですから」
婦長さんはそう言いながら、達郎兄ちゃんに椅子を勧めた。
あたしは達郎兄ちゃんが座った椅子の横に、ぴったりと車椅子をつけた。
すると、婦長さんと目が合った。
「あの、旭さんも?」
婦長さんの目に浮かんだ不審の色が、ますます濃くなる。
「彼女も多江さんの最期を知りたがっています」
婦長さんは達郎兄ちゃんを見て言った。
口調は穏やかだったが、目には不審の色がたっぷりだった。
そりゃそうだろうなぁ。
警察でもマスコミでもない人間が、事件の話を聞きに来るんだもん。
「大変でしょうに、お手数をおかけして申し訳ありません」
達郎兄ちゃんは丁寧に頭を下げた。
あたしも車椅子に座ったまま、それにならう。
身内である多江さんを亡くしたというのに、休めないなんて、ナースって大変だな。
「急なことで、まったく引き継ぎができてないものですから」
婦長さんはそう言いながら、達郎兄ちゃんに椅子を勧めた。
あたしは達郎兄ちゃんが座った椅子の横に、ぴったりと車椅子をつけた。
すると、婦長さんと目が合った。
「あの、旭さんも?」
婦長さんの目に浮かんだ不審の色が、ますます濃くなる。
「彼女も多江さんの最期を知りたがっています」