君の左のポケットで~Now&Forever~
「どうして嘘つくの?」


喉に何かがつかえたような声は、低く床に響いた。


「嘘じゃないよ。友達が落ち込んでるんだって」

「…嘘」

「ナナちゃん…」


苦しい。

レンもユウ君も、何か隠している。

泣きたいのに、涙は出てこなかった。

ただ締め付けるような胸の苦しさが、呼吸を荒げ始める。


「もう…いいよ」

「え?」

「もういいから。帰って」

「…ナナちゃん」


何も考えたくなかった。

わたしの知らないところで、

わたしの知らないヒトと会っているレン。


いつも一緒のレンが、いない。

悪い想像だけが頭の中をぐるぐると巡って、目眩がするほど苦しかった。


「ナナちゃん…一人で大丈夫か?」

「大丈夫」

「帰ってくるまで、一緒にいようか?」

「いい。大丈夫だから帰って」


「わかった」と呟いたユウ君は、立ち上がらないわたしを残して、静かにドアを閉めた。

閉め際に、「オレ、起きてるから、いつでも下に来ていいからね」と残して。


わたしは顔を上げず、頷きもせず、黙ったまま床を見つめていた。

階段を下るユウ君の足音だけが、外で静かに響いていた。




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