君の左のポケットで~Now&Forever~
「もう一箇所、寄らなきゃならないんだ」

「うん」


わたしとレンは、もう一回電車に乗り、お母さんのお墓に向かう。

お母さんのお墓はここから電車で2つ目で、

ひっそりとした霊園内にある。


お墓が立ち並ぶその周辺は、不思議なほど、すうっと静かで、

わたしはここにくるたび、とても、安らかな気持ちになる。

そして、少し、切ない。

レンの、気持ちが。



お母さんの墓石を丁寧に拭いて、お花を供えて、わたしとレンは並んで手を合わせる。

時間が止まったような静けさが、辺りとわたしたちを包んでいる。





……レンの、お母さん。

わたし、ナナです。

ナナっていうか、うん、ナナです。

あの時、あなたとレンの手に触れてもらった、キーホルダーなんです。

信じられませんよね。

でも、そうなんです。


レンのことが好きで、

いつでもレンのことを想ってて、

どうしてだかわからないけれど、

きっと神様が、わたしをヒトの姿にしてくれました。

そして今、レンと一緒に暮らしてます。







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