君の左のポケットで~Now&Forever~
少し風が冷たくなってきたころ、わたしたちは神社を後にした。


電車に乗って、自分たちの町に戻る。

本屋さんに寄って、夕飯の買出しをしにスーパーに寄って、

電気屋さんをちょっと覗いて、ゆっくりと道を歩いてくるうちに、

陽は沈んで群青色の空が広がっていた。

少しずつ、星が顔を現し始めている。


わたしは、レンの少し後ろを歩いていたけれど、

振り向いたレンが少し微笑んで、手をつないでくれた。


街灯がちかちかと点り始める。

レンとわたしの靴音と、時々過ぎる車のエンジン音だけが、道の上に鳴り響く。

レンもわたしも黙ったまま、夜のなかに身体を預けていた。



「ナナ」

「ん?」

「公園、寄っていこう」

「…うん」



公園。

いつもレンが星を見上げている公園。

わたしたちはそこに入って、ベンチに腰を下ろした。


砂場にはやっぱり黄色いバケツが転がっていて、

誰も乗っていないブランコは、風で静かに揺れていた。



レンは、空を見上げた。

いつものように。





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