君の左のポケットで~Now&Forever~
横顔が、とても切なくて、わたしはレンから目をそらす。
砂場のバケツを眺めてから、ゆっくりと星空を見上げた。
暗くて、深い、夜の空。
ちらちら瞬く星たち。
今夜は、何となく星の数が多いような気がする。
空気が澄んでいるのだろうか。
散らばった星たちは、互いに瞬いて、輝くことを繰り返す。
「ナナ」
ふいにレンが口を開いて、わたしの名前を呼んだ。
低く、小さな声で。
「…ん?」
「何も、聞かないの?」
「…レンが、話してくれたら、ちゃんと聞くよ」
レンは少し黙って、ゆっくり息を吐いて、呟いた。
「お袋なんだ」
「…うん」
「オレが5歳のとき…5歳の誕生日に、あの場所で、さ」
「…うん」
「横断歩道に飛び出したオレのこと、かばって」
「…うん」
「その日に、死んじまった」
「……うん」
レンは星空を見上げたまま、また深く息を吐いた。
膝の上で指をくんで、じっと、動かずに。
砂場のバケツを眺めてから、ゆっくりと星空を見上げた。
暗くて、深い、夜の空。
ちらちら瞬く星たち。
今夜は、何となく星の数が多いような気がする。
空気が澄んでいるのだろうか。
散らばった星たちは、互いに瞬いて、輝くことを繰り返す。
「ナナ」
ふいにレンが口を開いて、わたしの名前を呼んだ。
低く、小さな声で。
「…ん?」
「何も、聞かないの?」
「…レンが、話してくれたら、ちゃんと聞くよ」
レンは少し黙って、ゆっくり息を吐いて、呟いた。
「お袋なんだ」
「…うん」
「オレが5歳のとき…5歳の誕生日に、あの場所で、さ」
「…うん」
「横断歩道に飛び出したオレのこと、かばって」
「…うん」
「その日に、死んじまった」
「……うん」
レンは星空を見上げたまま、また深く息を吐いた。
膝の上で指をくんで、じっと、動かずに。