Dear my Dr.
「悠哉先生、いらっしゃいませんでしたか？」

「…ええ、見当たりませんでした…」

「大丈夫。心配せずとも、そのうちお戻りになられますよ」

車に戻っても、まだドキドキしていた。

見なかったフリするべき？

でも……

やましいことがないなら、全部話してくれるよね？

ハンカチを握りしめたまま、もう車の外を見られなかった。

もしかしたら、あの人と並んで出てくるんじゃないかって。

不安で。

車のドアがあいて、外の空気が入ってきた。

「遅くなって悪かったね」

いつもと何も変わらない悠ちゃんの声だった。

「…探したんだよ？」

「ごめん。話し込んでて…」

誰と？

聞こうか迷ったけど、言葉を飲み込んだ。

女の勘っていうか、なんとなく、聞いたらダメだと思って。

静かに車は走り出した。

この静けさは何だろう…？

私の気にしすぎかもしれないけど、この時間が気持ち悪くて仕方ない。

悠ちゃんと目を合わせられないまま、茅島病院へと向かっていた。

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