days
忘れられる……?
その言葉に、若干の疑問を覚えたから、わざとわからない、というような顔をシュン君に向ける。
「陽菜さあ、前に聞いたことあんじゃん?俺の母親はどんな感じかって」
あたしはそれをハッキリと覚えていた。それは以前、体育祭でのことだった。
「俺の母親はね、どっかの親父と不倫して子ども作って意地で生んだけど、男は手に入らないわ、金はないわで結局子どもを捨てたどうしようもねえ女だよ」
あまりに簡潔に、淡々と述べられた、まるでドラマの中で用意されたセリフのようなその言葉にどう反応するべきなのかわからなかった。
「そ…それってどういう意味……?」
それだけを必死に尋ねると、シュン君の顔はまたいつもの笑顔に戻った。
「まっ、嘘だけど」
休憩終わり、と立ち上がってもう一度、走る準備をはじめたシュン君をあたしはただ、見つめることしかできなかった。
「嘘?ねえ、シュン君。どっからどこまでが嘘?」
そう尋ねるあたしに、シュン君はまた、最上級の笑顔を向けて言った。
「全部嘘だよ。俺、嘘ばっか吐くから信用しない方がいいよ。陽菜はその点、冷静なタイプだと思ってたんだけどね」