リフレイン〜3rd Season〜

「あぁ、お父さんなら奥に……あら」




「彩乃、客か?」




そんな話をしていると、奥から父が出てきた。




「なんだ、朱里か。どうしたんだ、今さら帰ってきて」




「ちょっと、あなた!」




お母さんは父の腕を掴む。




「……悪かったわね。ならすぐに帰ってやるわよ。今日はただ報告しに来ただけなの。あたし、この人と付き合ってるの。いずれ、結婚するつもりだから」




「おい、朱里…」




感情的になるあたしに、健太は落ち着かせようと肩を掴んできた。




「結婚、だと…?」




父は怪訝な表情をした。




まるで“何を考えてるんだ”とでも言うように。




「何よ、用件はそれだけ。じゃあ帰るから」




「待てよ、朱里!」




「朱里!」




お母さんと健太があたしを止めに入る。




だって……これ以上ここにいたら、健太が嫌な思いをすることになる。




それだけは、絶対に避けたい……。



< 310 / 384 >

この作品をシェア

pagetop