リフレイン〜3rd Season〜
素直な思い―side 健太―

朱里の両親に会った時、確かに少し冷たい家庭なのかな?とは思った。




お母さんは自分の旦那さんに凄く遠慮してるみたいだし、お父さんはお父さんでそれを良いことに、朱里にも言い放題みたいだ。




でも……俺はすぐに感じた。




この人は上手に相手に気持ちを伝えることが出来ないんだ。




朱里が憎いとか、自分の奥さんが鬱陶しいとか……そういうことじゃないんだ。




俺は今まで陽気な父や母に育てられ、人懐っこい弟や妹に囲まれて……とても幸せな家庭だ。




でも、朱里が不幸な家庭だとか、そういうことを言いたいんじゃない。




ただ単に朱里の両親は……素直になれない父と、それを優しく見守る母なだけなんだ。




「確かに……俺は警察官です。でも、俺はこの仕事に誇りを持っています。SPをしていたからこそ、朱里さんに出会えた。今もこうして、幸せな時間を過ごせている。だから俺は朱里さんと幸せになりたいんです。俺しか、彼女を幸せに出来る男はいないと思います」




「健太……」




「……ふん。」




朱里の親父さんは俺をチラッと見ると、煙草を灰皿に押し付けた。




「佐々倉健太くん、だったな?」




「はい。」




俺はしっかりと返事をした。



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