どうしょうもねぇくれぇ、好き。
「今度は遠藤が勇気を出す番だろ。」
祐毅が一冊の本を本棚から出し、ページをペラペラと捲る。
その光景をジッと見つめる。
「瑞季が中村とあんな事やそんな事をする勇気?」
「お前は馬鹿か。」
「いっ、て…。」
俺が疑問を口に出すと、祐毅が持っていた本がお腹辺りに飛んできた。
それをキャッチしようとしたが間に合わず、腹で受け止めた俺はその場で腹を押さえて踞った。
椅子に座っているため、ガタガタッと椅子が揺れる音が聞こえる。
「祐毅、てめぇ…痛ぇじゃねぇか。」
「あら、避けて下さると思って。」
腹の痛みに耐えながら祐毅を見上げると
右手を広げて口元に持っていき、オホホホホ…とムカつく笑いをしやがった。
祐毅のその行動に腹を立てる。
その前にお前、本を投げるなよ。
此所のだろ。
俺の本でも、お前の本でもねぇんだからよ。
「常識知らずが…。」
ボソリ、苦しいながらにも声を出すと祐毅が
それだ!
と突然大きな声を出した。
…祐毅、頭大丈夫か?