プ リ ン ス
「美味しい〜♪」




パクパクとお菓子を口の中にいれて頬張る姿は犬っころみたいだ。




「藍くんも食べていいよぉ〜♪」




佐原先輩はチョコを1つ取ると、無理矢理俺の口の中に突っ込んだ。




『んんっ!?』




俺の口の中に入ったチョコレートは、舌の熱で溶けだし、ほろ苦くて甘い味が口の中に広がる。




「美味しいでしょ?」


『……。』


チラッと佐原先輩を見ると、しっぽを振った子犬のように、俺の言葉を待っている。




まるで「褒めて褒めて」っと言ってる犬のようだ。




俺はまた周りから陰口を言われない為に、佐原先輩の頭を撫でた。




「えへへ♪」




ベージュのふわふわな髪は柔らかくてきめ細かい。




きっと白龍でも、佐原先輩の裏の顔を知ってるのは上層部だけだろう。




まさかこんな甘キャラが、ヤクザの時期当主なんて誰も思わないだろう。




佐原先輩も女の子が近付きやすいようにキャラなんか作って。




「あっ次の授業始まっちゃうから僕戻らなきゃぁ〜」


「えぇ〜、麻央くん行っちゃうの〜?」


「また遊びにくるね〜♪」




佐原先輩は女の子達に手を振ると、お菓子を持って教室へ帰っていった。
< 114 / 131 >

この作品をシェア

pagetop