プ リ ン ス
俺は耳栓をはめて、また本を読み始めた。




桜井は耳の垂れたわんこのように、いじいじといじけていた。




俺は読み終わった本を机の中に入れた。




カサッ




何か紙のような物が手に触れた。




取り出してみると、1枚の封筒。
可愛らしい花柄の封筒からして、女の子からかな。




俺は封筒から紙を出して読んだ。




――――――――――
宮内 藍様へ

放課後、話したい事が
あります。
お時間があれば、校舎裏
にきてほしいです。
お願いします。

1-B
根本 加奈より
――――――――――




根本加奈?
知らないな~




「なになにそれ~」


桜井がバッと俺から紙を取った。




『おいッ』




桜井は読むと目付きが変わり、俺に顔を近付けてきた。



「これラブレターじゃんか!!」


『見ればわかるよ。』


「行くのか!?」


『一応ね。』


「見に行っていい!?」


『だめ。』


羽藍は即答し、桜井から紙を奪い返した。




それを封筒に入れると鞄にしまった。




「藍のケチー」


『……。』


「藍のアホー」


『……。』


「藍のオタンコナスー」


『……。』


「うぅ…藍ちゃんがかまってくれない…。」




桜井が泣き出した。
こいつはなにがしたいんだ。
毎回毎回俺に突っ掛かって……。
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