プ リ ン ス
「てめぇ…誰だ……。」


『……。』


「聞いてんのか…?」


『お前から名乗れよ。』


「……チッ」


男はまた舌打ちし、ため息を零した。




「荒嶽炎(アラタケ エン)……。」




荒嶽か……。




『俺は宮内藍。』


「……。」


『……。』


「……。」


荒嶽は俺を睨むように凝視した後、またその場に座りこみ、タバコを出した。




すかさず俺は荒嶽の持っているタバコの箱を奪いとった。




『止めろっつってんだろ。』


「……チッ」


荒嶽は舌打ちすると、立ち上がって俺の横を通り過ぎ、屋上から出て行った。




俺は荒嶽が出て行った扉を見つめ、手に持つタバコに視線を移した。




あいつセッタ吸ってんのか……。




せめてマルボロにしなよ。




ってタバコ止めさせなきゃいけないんだった。




要が休憩中に吸ってるの見てたからつい。
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