龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
第十八話 蜘蛛と蝶
ああ、まただ……


僕は苛立った。


もう帰宅してるはずだろう?!


志鶴はいつもそうだ。

彼女が学校から帰って来るのを、僕がどれくらい待ってると思っているんだ?

自慢できる話じゃないが、たぶん志鶴の飼い犬よりも待ち焦がれているさ。

自信を持って言えるね!


「なら、母屋で待っていればよかったろ?」

僕は仕事机に頬杖をついて、独り言を言った。


そうさ

でも、ほんのちょっと期待して何が悪い?


志鶴に階段を駆け上がって来てほしい。

僕に会いたかったって言ってほしい。

今日こそは、って思ってたのにな……

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