片恋★パンドラボックス
「奈緒ちゃーん。いーたーいー。」



「はいはい。走って、走って。」



「そんな焦んなくてもさぁー、次待てばいいじゃん。ってか、もう無理だって。」



「わかんないじゃん!」



「はぁ…」



瞬間、駐輪場を横切った時、おにーちゃんの自転車を発見。



まだ帰ってないんだ…と寂しくなったと同時に、優斗と2人でいるとこ見られなくて良かった…とホッとしたことは秘密。



「はーやーくー!」



「はいはい。」



「早…あぁーー!!変わっちゃったじゃん!!優斗のバカー!!」



「だから言ったじゃん。焦んな、って。
“焦り禁物、事故のもと。”恋も信号も、ダメだぁーって思ってすぐ突っ走らず、少し待つぐらいの余裕がなきゃ。勝手な自己判断は危険ですよ。奈緒ちゃん?」



「なっ!」



ニヤリと意地悪く優斗を目の当たりに、瞬間、カッとなってしまったあたしは、「ほっといて!」とプイッとそっぽを向くと、ぷぅと頬を膨らませた。

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