片恋★パンドラボックス
いつも通りの優斗との帰り道。



ただの…ううん。ちょっぴり特別な親友に変わっちゃったけど、なんら変わらない優斗。



優斗の隣は本当に心地良い。楽しくて、暖かくて、離れるのが惜しくなっちゃう。



でも、そんな優斗の隣を捨てて、おにーちゃんを思い続けることを選んだのはあたし自身。



それを気づかせてくれたのは他でもない優斗。



利用したこと。気持ちも何も知らずに隣にいたこと。「ごめんね。ありがとう。」なんて言ったら「お互い様でしょ。」って笑うだろうから、絶対に言わない。



「奈緒?」



「ん?」



「大丈夫?」



「何が?」



「立ったまま寝てた。」



「は?」



いつの間に立ち止まっていたのか、顔を覗き込んでくる優斗に「なにそれ。」と笑みを向けたあたしは、「あっ、ヤバっ!信号赤になっちゃう!」と優斗の背中をバシッと叩くと、その場から駆け出した。

< 137 / 205 >

この作品をシェア

pagetop