片恋★パンドラボックス
「じゃ、しんどくなったら呼べよ。ケータイ、ここ置いとくから。」



「ん。」



離れる手が恋しい。



「腹減っても呼べよ。お粥ぐらいなら食えるだろ?」



「ん。」



遠くなっていく声が、胸をさらに切なくさせる。



「じゃ、おやすみ。」



「……ん。」



パタンと閉じられた扉が本当に憎らしい。



でもそれ以上に、行かないでって、1人は寂しいって叫びそうになる自分が一番嫌になる。

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