片恋★パンドラボックス
「お願いっ!」



耳まで真っ赤な顔をプイッと背けたあたしは、力の入らない腕に今ある全力を込めると、必死におにーちゃんの体を押し返した。



「お願…」



「ダメ。」



「へ?」



「まだ最後まで訊いてない。」



「うっ。」



「お前さ、俺のこと好きなの?」



きた!っと思った瞬間、目の前にはおにーちゃんのドアップ。



“逃げられない”



そう悟ったあたしは、真っ赤な顔を逸らしたままコクリと小さく頷いた。

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