片恋★パンドラボックス
視線の先には、花も散り、葉だけになった桜の木。



ちょっと前まで毎日が晴れだったのに、最近は崩れがちな天気。



「………まるであたしの心…みたい。」



「ん?」



「なになに?」



「………なんでも…ない。」



「そっか、そっか。」



「っ!」



ポンポンと頭を撫でながらにっこりと微笑む璃子目の前にウルッときたのは、きっとおにーちゃんを思い出したから。



「りこぉー!」



「よしよし。」



「奈緒ー!俺もー!」



「大好きー。」



「よしよし。」



「って、無視ですか!いーもん!俺っち、いじけちゃうもん!」



座ったまま、ギュッと璃子に抱き付いたあたしは、ムスッと唇を尖らせる真樹を完全にスルーし、璃子の肩口に顔を埋めた。

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