竜を狩る者
隻腕と漆黒と最強の竜
山岳地帯へと繋がる細く険しい峡谷の道。

歩くローゼンの前に。

「!」

サンは立ちはだかった。

黒のローブ、腰には竜種の髭で綯った縄を束ねて下げている。

峡谷の風で、白に近い金髪が揺れる。

サファイア色の瞳が、真っ直ぐにローゼンを見つめた。

「…何の用だ、坊主」

前髪に隠れた視線は、サンからは窺い知れないまま。

しかしローゼンは、年端もいかぬ少年にも容赦なく刃を抜いた。

左右の腰にかけた二刀。

そのうちの右の刃を逆手に握る。

峡谷の一本道。

少しでも足を踏み外せば、深い谷へと真っ逆さまだ。

そんな場所で、両者は対峙していた。

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