竜を狩る者
最強と呼ばれた竜種を、この手で仕留めた。

この上ない充足感を得ながら、ローゼンが愛剣二本をニーズヘッグから引き抜く。

もうこの場には用はない。

無性に酒でも飲みたかった。

「…小僧、お前も来い」

ローゼンはサンに声をかけた。

認めたくはないが、彼の縄捌きに助けられたのも事実。

街に戻って、飯くらい奢ってやってもいいだろう。

ところが。

「……」

サンはローゼンの言葉にも振り向く事なく、じっと城塞都市の方角を見つめていた。

そして小さく呟く。

「…街が…燃えている…」






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