竜を狩る者
卑屈と世話焼きと三つ首竜
「……もういいだろ」

「まだです」

「……もういいだろ」

「まだですって」

「……もういいんじゃないか?」

「まだですって!生焼けじゃないですか!」

火山の麓。

猪を狩って夕食の丸焼きを作っていたラムダとフューリーが言い争う。

何事も几帳面で丁寧な仕事のラムダと、女性なのにやや粗忽でガサツなフューリー。

特にフューリーの料理スキルは絶望的で、既に猪一頭を黒焦げにして炭化させていた。

今焼いているのは二頭目の猪だ。

「何で丸焼き一つできないんですか、フューリーさん」

「いいじゃないか、少々焦げてたって食べられたぞ、あれは」

「少々じゃないですよ!骨まで黒焦げだったじゃないですかっ!」

< 81 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop