竜を狩る者
話は今朝まで遡る。

ギルド掲示板前。

何か目ぼしい依頼はないかとウロウロしていたフューリーは。

「ん?」

一人の男が受付にA級依頼書を持っていくのを見た。

白い長髪、黒い瞳、長身、魔法使いのような緑のローブを着ている。

ひょろりとした長身はフューリーとよく似た体型だ。

つまり男にしては華奢な体つきという事。

とても狩猟者とは思えない細身だ。

(あんな痩せっぽちで、A級依頼なんて務まるの?)

フューリーの悪い虫が騒ぎ始めた。

生来の姉御肌。

悪く言えばお節介。

彼女は無言でギルドの受付に立つその白髪の男、ラムダに歩み寄り。

「A級依頼を受注します。ズメイ討伐を…」

そこまで言いかけた彼の言葉に。

「私とパーティーを組んでの討伐よ」

そう口を挟んだ。

< 82 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop