竜を狩る者
城塞都市からズメイが生息する火山帯は相当な距離がある。

草原を進み、密林を抜けた所でようやく火山の麓に到着するのだ。

人間の足でなら一日かかる。

麓に着く頃にはすっかり日も落ちており、冒頭の如く猪を狩って夕食をとり、今夜は野宿という事になったのだ。

「ところでフューリーさん」

何とか生焼けや黒焦げの猪を食べる事は免れたラムダが、焚き火の前に座って言う。

「見た所武器を持っていないようですが…防御専門なんですか?」

「まさか」

フューリーは笑う。

「確かに鎧はガルグイユの甲羅で出来たものだし、『これ』も盾として使えるけどね」

そう言って彼女は、円形の盾を引き寄せる。

一見すると只のラウンドシールド。

しかしよく見ると、盾の縁に鋸状の刃が取り付けられている。

竜種の牙か何かだろうか。

下手な刀剣よりも斬れ味がよさそうだった。

更にはその盾が、フューリーの着けている右手の手甲と鎖で繋がっていた。

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