竜を狩る者
しかし。

「その武器でも果たしてズメイを仕留められるかどうか…」

ラムダは呟く。

焚き火の灯りが、彼の神妙な表情を照らし出していた。

「何だい、心配性だね。もっと大きく気を持ちな。辛気臭い顔してると病が悪化するよ?」

「辛気臭いのは生まれつきです」

膝を抱えて俯くラムダ。

…フューリーは溜息をつく。

「討伐依頼を受けたんだ。ここまで来て悩んだって仕方ないだろ?もうズメイの喉元まで迫ってるんだ。腹を括るしかないだろ?」

「…フューリーさんは悩まなさ過ぎなんですよ」

ラムダの言い分も理解できる。

一度は戦いを挑んで敗北し、毒を浴びせられてこんな体にされた相手だ。

討伐を前にして不安がよぎるのも当然といえた。

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