竜を狩る者
生きている限り負けではない。

フューリーの言葉がラムダの胸に響く。

卑屈になり、苦悩し、失敗を恐れる彼にとって、それはまさに救いの声。

尤も、それを口にしたフューリーに深い考えがあった訳ではない。

直情的な彼女の事だ、ウダウダと苦悩するラムダに苛立っただけなのだろうが。

そんなやり取りをする二人目掛けて。

「!!」

ズメイの二本の首が大きく口を開けた!

右の口からは炎のブレス、左の口からは毒のブレス!

「くぅっ!」

フューリーがすかさずラムダを庇うように前に立ち、ソーサーシールドで毒と炎を受け止める!

…盾越しに伝わってくる膨大な熱、そして鼻を突くような異臭。

「長くはもたないわよ!」

フューリーはラムダを肩越しに見た。

「難しく考えずにバシッと射ってみなさい!外したら即撤退!」

「いえ」

フューリーの言葉に、ラムダは首を横に振った。

「どうせなら…一撃で心臓を射抜きます」

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