竜を狩る者
「…言うじゃない」

ニヤリと笑うフューリー。

ならば彼女は、ズメイのブレスを防ぐ事に全力を傾けるのみ。

しっかりと踏ん張り、ソーサーシールドを持つ手に力を込める。

その間に、ラムダはリントヴルムの素材で出来た矢を弓に番えた。

大きく鋭い鏃のついた矢。

その尖端をズメイに向け、弦を引き絞る。

(まだだ…まだまだ…)

すぐには射らない。

弦が切れるのではないか。

そう思ってしまうほど限界まで引き絞り、しっかりと狙いを定める。

無論、体外からズメイの心臓が見える訳ではない。

あくまで予測。

竜種とはいえ、生物だ。

心臓の位置は、他の生物と大きくは違わない筈。

その予測が的中している事を願って。

「いきます!」

ラムダは矢を放つ!

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