二つのシルエット


………


ジャリ。


私の足が石を踏む音が聞こえる。


「…水瀬くん。」


私が腰を下ろした前には、『萩原家』と書かれた石。


「久しぶり…。」


そっと手をあわせる。


「…水瀬くんは、私が他の人好きになったって言ったら…どうする?


…ごめんね。



ごめんなさい。」


本当に…。



私はそっと目を閉じて、あの日のことを思い出したーーー
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