二つのシルエット
「助ける?
…バカじゃないの?
何であんたなんか助けなきゃいけないわけ?」
………ぇ?
麻子の発した言葉がいまいち分からなくて、思考停止状態になっている私につかつかと近づいてきたかと思うと、いきなり私の頬をひっぱたいた麻子。
叩かれた所がジンジン熱い。
髪が顔にかかって前が見えない。
……どうして?
「どうして…?
私たち、親友だって…。」
「ハッ。親友?
ふざけないで。
私だって最初はそう思ってわよ…。
だけどあんたが…!」
「…私?」
「そうよ!
あんたが水瀬と付き合うから!」
…え?
「どうゆう意味?」
「私はずっと水瀬が好きだったっ。
入学式で初めて水瀬を見た時からずっとずっと好きだった!
あんたが惚れるずっと前からね!」
…目の前の麻子は私の知ってる麻子じゃない。
いつもの笑かけてくれる麻子じゃない。
こんな麻子…私は知らない。