誠ノ桜 -桜の下で-



――…


「………んぅ…」


眩しいとばかりに何度も瞬きをする。

起き上がると、自分が沖田の手を握っていた
事に気がついた。

凜が直ぐに手を引っ込めると、沖田の目が開
かれる。


「んー…おはよ」

「何でっ、何でここで……」


沖田は顔を赤くしている凜より、その姿に驚
いた。


「凜、体は!?熱もっ」

「え……熱、は…ないと思う。体は……」


凜は布団から出て立ち上がる。


「痛っ…」


直ぐに尻餅を付きそうになった凜を、慌てて
沖田が抱き留める。


「まだ、立てない」

「無理しなくていいよ」

「ごめ……」


謝ろうと顔を上げた凜は、沖田との距離がか
なり近くて顔を染める。

それは沖田も同じだった。

何しろ凜は、今……。


「え…と。取り敢えず、着替えたら?」

「……え?…っ!!」


着物が際どい状態まで崩れていたのだ。

袴を出して着替えようとして、ピタと止まる。



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