『箒星の組み紐』
あの晩、あたしは目の前が真っ暗になって、深海に沈み込んでいく岩石の欠片のように、固く凸凹(でこぼこ)した気持ちになり、一晩中、泣き崩れた。

その結果、代ゼミの模試も英語以外偏差値50前後にまで落ち込んだ。

夢も希望も失って自暴自棄になりかけていたとき、サトシに出逢った。

あの時、あたしは男性不信に陥っていた。

だけど、サトシはそんなあたしにいつも優しく微笑んでくれたし、

あたしの過去の辛い話も親身になって聞いてくれた。

元彼の話をした後、「俺、今からそいつを殴り殺したい」って……

あの時、本当に嬉しかった。

あたしが女の子の日のとき、ただ傍に寄り添うだけで優しく髪を撫でてくれたことも。

「俺、ノゾミの顔を眺めているだけでも、めっちゃ幸せやで」って、言ってくれたよね。

それから、こんなこともあった。
< 17 / 73 >

この作品をシェア

pagetop