『箒星の組み紐』
「えっ、高校生だったんだ……てっきり、二十歳くらいかなぁと思って、いや、その、そういう意味じゃなくて、えーと、一目会ったときに、しっかりしたイメージがあって……」

西村はしどろもどろ状態である。

「しっかり……んー嬉しい? かな」

ノゾミの口元が緩む。

「ホントのことを言うと、俺、女性としゃべるのが苦手で、えーと、西村恭平といいます。本当に平凡な名前で、まだ京太郎の方が良かったりして……あっ、トラベルミステリーとか知らないよね……」

ああ、何を言っているんだ。無駄に口数も多いし、これって最悪のパターンだ。ああ、駄目だ。第一印象は最悪かもなぁ……

「あたしもそんなに男性と上手くしゃべれませんよ」

ノゾミも少し嘘をついてみた。
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