愛を教えて。
変質者と一緒。
私が今涙を流しているのは、特に問題じゃない。







というか、これは自然なこと。







涙というものは、時に気持ちとは裏腹にでてくるものだ。







ん?矛盾してるかな。







カラオケ店の一室。







流行りの歌が飛び交い、マラカスやタンバリンが忙しなく鳴り響き、友人たちの嬉々とした声がきこえるこの部屋の片隅で私は一人涙をながしていた。







声も出さずにひっそりと。










「白石さん。私たち帰るからさ。ここの代金よろしくね」










“友人”の一人が、そう告げると、部屋いっぱいにいた残りの“友人”は、いそいそと己のカバンを手にとって無言で部屋をあとにする。










私は、独り、予約された曲が響く部屋の隅で、自分の体を抱きしめた。

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