Fahrenheit -華氏- Ⅱ
「本命の彼女どんな人ですか?年上?年下?可愛いんですか?付き合いは長いんですか??」
俺がタバコを吸い終えるまで、二村はわくわくしたように質問攻め。
「年下。可愛いよ」
と適当に返しながらも、訝しんだ。
「あのさ。何でそんなこと知りたがるの?」
「だってぇ神流部長のこと、好きな女性社員いっぱいいますもん。それを知ったら彼女たち悲しむかなぁって」
ふっ
俺は口の端で笑った。
「お前ほどじゃないよ」
二村は俺を見ると、口からタバコを抜き取って目をぱちぱち。
「それ!それですよっ!!モテる要素!」
「はぁ?」
「その涼しくて余裕のある笑みが、こうっ!女の子にはたまらないんですよ!!」
「はぁ…」
「俺には絶対真似できませんもん」
…………
俺がこいつを苦手な理由。
それはこのストレート過ぎる…と言うか過剰な表現……のところも上げられるな…
俺は小さくなったタバコを灰皿に捨てた。
変なのに捕まったな~…こうなったら早く立ち去るのが一番。
すると二村は、またも
「あ!」と声を上げた。
今度は何?と若干うんざりしたように振り替えると、
「キスマーク発見♪」
と俺の首を指差した。